RUBY EYE

静貴は音もなく部屋を出ていく。

静まり返った室内、時臣のため息が響く。


(ダンピール・・・・・・いや、しかし・・・・・・)


摩耶の危険性を思えば、彼女を近づけるのは良策とは言えない。

だが、彼女ならば摩耶を容易く殺せるのだ。

彼女なら―――。


時臣はしばし悩んだ後、庭へ出た。

池に映るのは、幽玄なる月。

月は人を狂わせると言うが―――。


「時臣様?」

「・・・・・・朔、何をしている」


庭に現れた妻の姿に、時臣は表情を険しくする。


「気分が良いので、散歩を・・・・・・」

「そんな薄着で、また体調を崩す。部屋へ戻りなさい」

「・・・・・・はい」


朔は寂しげに微笑み、離れへ戻るため踵を返す。


「あぁ、待て」


時臣が呼び止め、自分の着ている着物の羽織りを朔の肩にかける。


「ありがとうございます」

「・・・・・・あぁ」


朔は、思う。

時臣と十夜はよく似ていると。


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