RUBY EYE
「大丈夫。・・・・・・」
十夜の顔色が良くないことくらい、月明かりに照らされた室内でもわかる。
月野はベッドに腰掛け、首元を開けた。
白い首筋が、月の明かりで色香を放つ。
「月野・・・・・・」
十夜は拒もうとしたが、体は血を欲していた。
彼女の首筋と香りに、喉が鳴る。
「・・・・・・」
十夜はそれでも、頑なに顔を背けた。
「・・・・・・どうして、飲まないの?」
ヴァンパイアにとって、血は生きる糧。
人間が食事をするのと同じなのに、十夜はそれを拒む。
ストイックだとか言うが、もっと別の理由があるように思う。
「・・・・・・狂いたくない」
月野の問い掛けに、十夜はか細い声で答えた。
「怖いんだ。血を飲んで・・・・・・摩耶みたいに狂うのかと思うと」
7年前の事件だけが原因じゃない。
摩耶は度々、吸血衝動に逆らうことなく、血を飲んでいた。
その姿に、十夜はいつしか自分の未来を重ねるようになっていた。