エレーナ再びそれぞれの想い
 一方、エレーナもシュウのカップを壊したことで何時までも落ち込んでいた。
その日から、シュウは毎日放課後、美術室にこもりきりとなった。
シュウは割れた作品と同じ物が作れず、苦しんでいた。
作品を作っては気に入らないと捨て、その繰り返し。
文化祭当日まで、あまり日にちは無く、シュウは焦燥感に駆り立てられた。
エレーナとプリシラも、狂ったように陶芸の鬼と化したシュウをただ見守るしかなかった。
エレーナ達も痛々しいシュウの姿を見ていられなくなり、声を掛けた。
「あの、シュウ君」
エレーナが声を掛けるものの、返事は無い。
シュウはエレーナ達に見向きもせず、ろくろを回し続ける。
シュウからは、恐ろしいぐらいの気迫と異常な熱気が感じられた。
そしてついにエレーナ達も、シュウに対し声を掛けられなくなった。

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