スイーツな関係
私の気持ちは複雑に揺れている。

想っても報われない恋なら、もっともっと好きになる前に諦めた方がいいのだろう。


「熱い? 少し冷ましてから食べる?」


いつまでも食べない私にそう言ってから遥人は立ち上がり、水の入ったピッチャーを手にして戻って来た。

グラスに水を注ぎ、目の前に置かれる。


体調は戻って来たと感じていても、目の前の遥人が見ていると食欲がわかない。


遥人を見るだけで、ドキドキと心臓が暴れてしまうのを止められないせい。


「まだ食べられない?」


そうだ……遥人は早く帰りたいのかもしれない。


私は首を横に振ると、スプーンに手を伸ばした。


「いただきます」


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