スイーツな関係
「正気に戻ったんだろ? 離れろ」
「……キスしてくれたら、離れる」


震える声。


「ねぇ……」
「……いいよ」


ピクッと身体が揺れたあと、俺の首に絡みついていた腕が解かれる。


「……」


俺は助手席のシートに手をつき、彼女を覗き込むようにして見る。


目を伏せ、後悔しているみたいに下唇を噛んでいる。
俺は彼女の額に唇を落とした。


次の瞬間、驚いたように目を見開いて俺を見る。


「あ……」


額に指を滑らせている。


たかが額のキスだけで、彼女の顔はゆでだこのようにみるみるうちに真っ赤になっていく。


「恥ずかしいのなら言わなければいいのに。酔いが醒めたんだろう? ひとりで部屋まで帰れるよな?」


俺は運転席に身体を戻した。

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