そばにいたい。





いつもは篤志あたりが騒がしいのに、今日は誰ひとりしゃべらない

車内は玲菜ちゃんの苦しそうな息づかいだけがひびく


そんな時間にイライラしたのか、篤志が煙草をとりだしてつけた

そのとき、俺のそでを誰かがつかんだ


「悠莉ちゃん??」

悠莉ちゃんはうつむいて何かをたえているようだった
だんだん手に力が入っていく

どうしたのかと顔をのぞきこもうとすると


「さ、くっコホッ、ッ…」

咳をしはじめた悠莉ちゃんをみてハッとする







喘息の発作だ









「篤志、煙草けせっ」

「あ??」

「柳、窓開けてくれ」

「わかりました」

「ゴホッゴホッ、ハァ、っコホッさ、く…」

篤志も気づいたようですぐに煙草をけした

しかし、今日は吸入器を忘れたらしくなんとか自力で治めたときには、ぐったりしていた


「悠莉、わりぃ」

「ちがっ…ごめんなさい、私が悪いの。ごめんなさい」

篤志があやまると悠莉ちゃんはいきおいよく否定した

…そして、私が悪いから、と。
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