絶対にみちゃダメ!
「馬鹿なこと言わないでよ。あたしにもう半径5メートル以内に近づかないでよね!」

 冗談じゃない!

 こんな危険人物の側にいられない。

 対する雅はキョトンとしている。

「なんで?」

 その顔は、学校の教室で見る優しい雅とまるで変わらないのに。

 男だって思って見れば見るほど、完璧に男の顔に見えた。

 声も今は、いつもより一段低い。

 男にしては高めだけど、多分これが地声なんだ。




 学校では使い分けてるってわけね。

 本当にわけわかんないよ。

「当たり前でしょ。もう絶交だよ」

 あたしはつんと顔をそらして、寝返りを打つと雅に背中を向けた。

 せっかく、このお金持ち学校の意味不明な世界で、お友達が出来たと思ったのに。


「なんで?」

 またこの質問だ。

 いい加減にして欲しい。

「なんでもなの!さっさとベッドから降りてよ」

「やだ」

 即答が返ってきて、後ろから身体に手がまわってきた。

 包み込むみたいに抱き締められる。

「ちょっと、離してよ!」

「小町とずっとこうしていたい。安心するし……他の誰にもやりたくない。馬鹿虎なんかには絶対」

 なんですってえ?

 カッチーンと、とうとう頭の中でリミットゲージが限界を超えて爆発を起こしそうになった。

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