絶対にみちゃダメ!
「なんなの?虎に対抗するためにあたしにこんなことしたの?」

 噛み付きそうな勢いで、再び雅の方に向き直って胸をゲンコツでたたいた。

 雅と虎は、ことあるごとにケンカしている。

 ちょっとだけだけど、ケンカするほど仲がいいのかと思っていたところもあったのに。



 対抗するとか、そんな理由だとしたら、酷すぎる。

 コイツ、女の子のことどうおもってるの?

 道具かなんかと勘違いしてるの?

 自分だって装しているクセに。



 絶対イヤだけど、虎にはあたしをどうにかしていい理由がある。

 ヤツは『東雲』だから。

 でも、雅にはそんな権利なんてない。

 しかも、男だって隠して入学していたくせに。

 理由は分からないけど、ばれたら絶対追放だ。



 考えてみたら、雅だって特待生なんだから、虎の婚約者候補だ。

 虎のあの態度からして、雅を選ぶことはないだろうけど、万が一ってことだってある。

 そのとき、雅はどうするんだろう



「違うって。俺がしたかったの。小町みてたら、なんていうか衝動的にそうおもって、おさえきれなくて。一応我慢してたんだけど」

 雅がそんな風に真顔で説明を始める。


 一応って何よ、死ぬ気で我慢しなさいってば。

 そんな気分になるごとに襲い掛かられたら女の子はたまらない。

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