絶対にみちゃダメ!
「えー、なんで雅にやらなきゃいけないんだよ」

 虎は凄く不満そうに口を尖らせた。

「一応、特待生なのよ。私。招待されなかったら、外されちゃうかも」

 雅の声が悲しそうに揺れた。

 ぎょっとして振り返ると、うっすら涙ぐんだ雅の顔が見えた。

 こんの、タヌキ!



「あー、わかったわかった。雅にもやるからさ。でもじーさまに紹介は勘弁ね」

 コロッとだまされた優しい虎が、もう一通白い封筒をしぶしぶ取り出した。

「最初っから、アンタに興味なんかないわ。ご馳走を食って食って食いまくってやるわ」

 封筒の角を口元に持っていき、フフフと雅が不気味に微笑んだ。

「シェフが倒れるまで食ってくれ!だから小町と俺の邪魔するなよ」

「それはどうかしらね。でもあんたんちの食材を食いつぶしてあげるわよ」

 雅は細い割りに大食いだった。

 ビーフストロガノフもパクパク平らげていたし。

 考えてみたら男の子だもん……たくさん食べるに決まっている。



「んじゃ、部屋もちゃんと用意しておくからさー」

 虎がそんなことを言い出して、あたしは再びギョっとするはめになった。

 なんでかあたしの方をみながら、照れくさそうにモジモジしている。

「何?泊まりなの?」

「そ、夜通しやるんだよ。盛り上がるぞー。終わったらちゃんと俺の部屋に呼んであげるからな、小町!」

 ニコニコ顔で、虎はバンバンあたしの背中を叩いてくる。

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