絶対にみちゃダメ!
「恋人ならしてもいいの?」

 雅の無邪気な問いに、あたしは言葉に詰まった。

 じゃあ恋人になる……とかいわれても、困るからだ。

 しかも、天然雅なら平気でいいそうだ。


 虎も雅も、何を言っても無駄な人種なんだ。





「気持ちが通じ合ってなきゃダメなの!それが恋人なの」

 あたしはフイと顔をそらせて適当に話を切り上げ、カーラーを髪にまき始めた。

「どうしたら通じ合う?」

 雅の声がふと真面目になった。

 ドレッサーの鏡の中に雅の真剣な顔が映ってる。



 本気でそんなことを考えているんだろうか。

 コイツ、今まで一体どういう生活をしてきたんだろう。



「そんなの、時間をかけてゆっくり近づいて、お互い好きになって……でしょ」

 あたしはそう答えながらも、上の空だった。

 手だけが勝手にカーラーをまきつけていく。



 あたしの心の中には一番大切な人が既に住み着いているから。

 雅の入ってくる隙なんかないよ。



 でも、決してそれを口にすることはできなかった。








< 52 / 113 >

この作品をシェア

pagetop