絶対にみちゃダメ!
 雅があたしの側によってきて、ホットカーラーを巻き始める。

 ありえないぐらいに鮮やかな手つきに、あたしは目を見開いた。

「そんなことまでできるの?」

 女装が趣味だとやっぱり、そんな技術がいるんだろうか。

 雅はショートボブだから必要そうに見えないけど。


「ん?いま小町がやってたの見てたから」

 雅がく軽く返事をよこしたから、あたしは驚くしかなかった。

 見ていただけでこんな風にこなしちゃう雅って器用だ。

 器用じゃなきゃ、あそこまで女の子にはなりきれないよね。

 雅の場合、無意識な可能性も凄く大きいけど。





 雅が手伝ってくれたから、支度はあっという間に済んだ。

「雅、ちょっと早いけど、もう出かけようか」

「なんで?まだ車来ないよ?」

 雅が時計に目をやりながら不思議そうにそういう。

 今日は虎のお屋敷から、車が迎えに来る手筈になっていたんだ。



 でもね、二人でこの部屋にずっと居るのもなんだかきまずかった。

 さっき雅がへんなことを言ってきたから。



 あたしが必死に雅を見ないようにしていると、

「手伝ったんだから時間できたよ?約束は?」

 雅が優美な動作であたしの手を取った。


 まーたコイツはおかしなことを言って!


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