†魔界戦記†〜解体真書〜

その日、屋上に
彼の姿はなかった。

当然か・・・。

今までも授業サボって
来てたのに。

僕は・・・
世界に光をくれた友達を
失望させて、失った。


「今から、行くね」


鉄柵を乗り越え
淵に立つ僕。

お父さんとお母さんは
こんな僕でも
迎えてくれるかな?


別にいいや。


今まで僕を
助けてくれた景色。

それと一つになれるなら。


「・・・ごめんねぇ」


遥か下に水滴が落ちてゆく。

あの人に・・・
最後に謝りたかった。

涙を拭いて前を見る。

覚悟は・・・出来る。

僕は出来損ないじゃない!!


「待って!!」


初めて聞く声だ。

関係無いな・・・。


「お願い、アイツを止めて
あなたにしか出来ないの!!」


アイツ・・・
アイツってまさか・・・。


「僕にしか・・・
出来ないの?」


そう呟く僕に
その女の子は
にっこり微笑むと


「ええ、あなたにしか、ね」
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