†魔界戦記†〜解体真書〜

今僕は、さっきの女の子と
廊下を全力で走っている。


「急いで!!
もう終わったかも」


僕の予想が
当たらないことを祈るが

教室に近づく度増える
野次馬の数と

教室から聞こえる呻き声が
予想の的中を知らせていた。


「や、やめてくだひゃい」


凄惨な光景だった。

所々に血痕が付いており
その教室の真ん中には


・・・アイツがいた。


片手で歯が何本も折れている
ヒヨシを持ち上げ
拳を構えている。

床には女子を除く
クラス全員
先生までが血だらけで
倒れていた。


「潰す、潰す、潰してやる


お前らに・・・
お前らにアイツを
出来損ないと言う
資格はない!!」




僕はまた泣いていた。




認めてくれるのかい?

失望したんじゃ・・・

君は・・・君は・・・


「もういいよ!!」


教室に僕の声がこだまする。

生まれてから
こんな大声出したの
初めてだな・・・。

君と会ってから
初めてづくしだ。


「お前・・・」


彼がその手を緩める。


「僕が・・・
僕がドジだから
僕がいけないんだ!!
だから離してあげて」


だけど、その説得は
彼には届かなかった。


「嫌だ!!
友達をコケにされて
黙って見てられるほど
俺はお人好しじゃねぇ」


そう言って
また絞める手に
力を込めた。


「あんた、何やってんの!?
こう言ってるんだから
やめてあげてよ」


僕の体は、どうしたんだろ?

勝手に動くんだ。


「え?」


気が付くと
僕はその女の子の前を
手で塞いでいた。


「なら、僕が止めるよ」
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