†魔界戦記†〜解体真書〜
にぃっと笑うと
とうとう
ヒヨシを離す彼。
「おう、かかってこいよ」
やられてた時と
プレッシャーが全然違う。
それは相手が
あの強い彼だからなのか
それとも
ケンカとは元々
こんなものなのか・・・。
「やられてばっか
だったからわかんないや」
途端に彼が動いた。
いや、見えなかったけど。
一瞬で距離を潰して
もうすでに僕の懐にいる。
「速すぎでしょ!?」
手を・・・手を出すんだ!!
ズドン
強烈な右ストレートが
左頬を貫く。
痛い。
ヒヨシにやられた
何百倍も痛い。
その拳には
違う重みも乗っていた。
(悔しくないのか!?)
(出来損ないじゃねぇって
見返してみせろよ)
(なんで殻に閉じ籠るんだ)
(そんな殻、潰してやる)
何百倍も痛いのに
僕は耐え切れた。
だって、友達だから・・・。
「僕は、僕は、僕は
出来損ないなんかじゃない!!」
辺りがしーんと
静まり返る。
僕の右手は
彼の頬に届いていた。
「やれば出来るじゃねぇか」
僕は何度も頷いた。
相変わらず涙と鼻水で
ぐちゃぐちゃになった顔で。
教室中に拍手が起こる。
こんなに大勢の人が
僕を認めてくれたんだ。
幸せだなぁ。