スイートスキャンダル
髪を乾かし終えた頃、夕食が運ばれて来た。


「……飲む?」


「そうですね」


緊張してばかりのあたしは、今夜もアルコールの力を借りようとビールに手を伸ばす。


「柊君は熱燗の方がいい?」


「いえ、俺もビールで」


お互いのグラスにビールを注(ツ)いで、今日は乾杯をした。


それから勢いに任せてビールを飲み干すと、柊君がフッと笑った。


「何?」


「遥さん、お酒好きなんですね」


「好きって言うか、家でもつい飲んじゃうのよ」


「そういうのを好きって言うんですよ」


「……ごもっともです」


柊君はクスクスと笑って、グラスのビールを飲み干した。


< 75 / 200 >

この作品をシェア

pagetop