想 sougetu 月
「月子は本当に馬鹿素直だね」

 クスクスと斎に笑われて顔を背ける。

 嘘は苦手だ。
 ましてこんな状況で誤魔化すような言葉をとっさに思いつくはずがない。

 ショーツに触れていた斎の手を押さえていた手が逆に掴まれる。

「大丈夫」

 斎の言葉が呪縛の呪文のように私を縛った。
 もう動けない。

 何年も隠してきた私の本心が斎に知られてしまった……。
 重ねられた年月分の想い。
 苦しいほどの恋。

 動揺から思考が奪われていく。

 また重ねられる唇。
 もう抵抗は出来なかった。

「月子……、俺の方に舌出して?」
「……ふぅ……んん!」

 言われた通りおずおずと舌を出すと、斎は私の舌に優しく食いつく。
 吸われたり、舐められたりして体がどんどん熱くなる。
 鼻にかかるような、今まで聞いたこともない自分の声を頭の片隅で聞いていた。

 ブラのフックが外され、ずらされると、私の胸が斎の目の前に晒される。
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