想 sougetu 月
 斎はその容姿の良さと頭の良さからすごくモテる。

 私と斎は同じ系列の大学に進学していた。
 大学は同じ敷地内に建っており、私は語学短大、斎は経済大学だ。

 当然、斎の大学の噂が入ってくるのだけど、入学してすぐ、うちの大学で斎のことが噂になった。

 美形で頭が良く、誰にでも優しい完璧な斎。

 クラブとかイベントなどは斎の大学と合同が多かったので、斎に近づこうとした女の子達は斎の動向を事細かく探っていて、私イトコで一緒に住んでいることはすぐにばれて斎が目当てで私に近づいてくる子ばかりで、最初の頃は本当に大変だった。

 高校の時もすごかったけれど、大学はひどいものだった。
 一時期、人間不信になりかかったこともある。

 だからシイナくらいにしか気を許せなかったのだ。

 それは斎も同じだった。

 なにしろ斎のモテ方は異常なほどで、斎自身もかなりうんざりしている様子だった。
 家に勝手に押しかけてくる女の子達もいて、美鈴おばさんと一緒にその様子を観察してしまったほどだ。

 男友達と飲み会に出かけて途中で帰ってくるのもしょちゅうで、そのうち一部の友達としか出かけなくなってしまった。

 何でも女なしって話で了承したのに、必ず女の子が混じってしまうらしい。
 中には他の男の子と関係を持ってまでツテを繋ごうとする子とかもいたらしく、そういった男女関係のトラブルも多かったみたいだ。

 そのせいで斎はどこのクラブにも入らず友達も厳選して付き合うようになり、持て余した時間、家の家事をするようになっちゃったんだけれど……。

 そういった経緯もあって、斎が彼女を作るのは難しいと思っていた。

 まあ、好きになろうとして好きになることも出来るけれど、好きになりたくなくても好きになってしまうのが恋だ。
 恋の前にはどんな事も瑣末なこと。

 斎もいつか誰かに恋をするだろうと思っていた。
 
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