想 sougetu 月
「男の子って普通、経験がなくても慣れているものなの?」
「世の中にはそういった指南書が雑誌に書いており、画像で見られるアダルトDVDなどが溢れているのですが?」
「え?」

 斎の口から出たとは思えない言葉に驚いてしまう。

 え、えろDVD?

「い、斎もえっちなの見るの?」
「そりゃ、健全な男子ですから、それにセックスがわからないと上手くリードも出来ないし、相手を気持ちよくしてあげられないだろ?」

 あの行為がえろDVDとかを見た結果かと思うと複雑な気持ちになる。

 斎はまだ食べかけだった私のトレイを手に取って、机の上に置いてある自分のトレイの横に置く。

「あ、まだ食べ終わってないんだけど?」
「月子が悪い」
「ど……」

 どうしてと言おうとして言葉が止まる。
 斎が私の手をとり、色っぽい表情で見ているからだ。

「えっと~……」
「俺はまだ満足してないって言ったよね?」
「い、言ったけど、元気になるまで待ってくれるんじゃないの?」
「こんな会話して興奮しないと思う?」
「……」

 斎の顔が近づいてくる。
 ずいぶん良くなったものの、私はまだ体がだるくて上手く動けない。

「い、斎」
「だ~め」
「ひっ!」

 今まで聴いたこともないような斎の甘い声。
 そして、耳たぶを噛まれた。

 慌てて噛まれた耳を押さえた時、私の体はベッドに沈んだ。

 逃げたくても逃げられない。

 とりあえず斎の機嫌が直ったことと、2人の関係を秘密にすることをうやむやに出来たことを考えて、私は目を閉じて斎のキスを待った……。
 
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