君がいるから
「"アレ"は、君を斬ってからにしようか」
その言葉と同時に銀髪が揺れ、突然姿が消え去る。
「っ消えた!!」
同時に私とギルの声が重なり、視界から消えた銀髪の行方を捜す。ふいに天井を見上げた私の視線の先に、ギルの頭上に揺らめく影。
「あははははーーっ!!」
剣を振りかざし、ギル目掛けて降りかかってくる。頭上の高笑いに気づいたギルは顔を勢いよく上げ、膝を折り曲げ地を蹴り上げて銀髪を目掛けて飛ぶ。
「ギルっ!!」
声を張上げて、ギルの名を叫ぶ。銀髪の剣が振り落とされる瞬間――それをギルの2本の剣が受け止め、その衝撃で双方に別れ地に降り立った。その時、ギルの表情を目にすることが出来た――けれど。
「っ………」
その表情は――目前の相手を強く強く見据える。それは憎しみが溢れた瞳の色。
「ぜ……ってーに」
「んー?」
「許さねー!! てめーをぶった切ってやる!!」
「あぁ、その憎しみを込めた瞳。僕はそれが大好きなんだ。いいねぇ~君のその瞳」
「気色、悪いこと言ってんじゃねーー!!」
「ギルー!!」
私の叫びと共に、双方が再び地を蹴った。互いの"血"を求め、満たそうと強く望みを剣に込めて――。
「ぅうっ……」
自分の腕の中から小さな呻く声と動きに気づき、激しく剣を交じり合う方かた視線を移す。抱きしめていたレイの額に、尋常じゃないくらいの汗が輪郭に沿って落ちているのを目にして驚く。
「すごい汗の量」
著しく高い体温に、額に触れた掌に伝わってくる。
「すごい熱! レイを早く横に出来る場所に移して落ち着かせなきゃ、このままじゃ」
「あきな!!」
レイをこの場から遠ざけようと辺りを見渡していたら、ギルたちがいる逆の方向から自分の名が響き、その方へ振り向く。
「ウィリカ!?」
私達の元へ駆け寄ってくる、息を弾ませたウィリカの姿が目に映る。傍に辿り着いたウィリカは膝を地に着け、息を軽く整えてから口を開く。
「はぁはぁ……あきな、大丈夫か? 怪我は?」
開口一番に、私を気遣うウィリカの言葉に何故だか胸が熱くなった。
「私は大丈夫。どこも怪我してないよ」
「そう……なら、よかった。勝手に抜け出して心配するだろ。シャンロが教えてくれてなかったら、どうなってたか」
「ご、ごめんなさい」
連れ去られた身ではあるけれど、ウィリカの真剣な眼差しに自分勝手な行動だったと、素直に詫びる。