君がいるから
じっとり目を細めてレイを見ていたら、レイの眉間の皺が濃くなる。
「変な顔」
「んなっ!」
こういう言い方とかが、だんだんコウキに見てくるのは、やっぱり重ねて見てしまっているからだろうか。思わずレイの眉間に人差し指の先を強めに押し付ける。
「なっ!」
「レイもここに皺寄せてばっかりいると、若いうちから跡残っても知らないから」
「離せ。触るな」
冷静な口調で言い放ち、顔を背け私の指先から逃げた。この場合、コウキだったらしつこく追い掛け回す所、レイ相手だからとりあえず止めとこうと息を吐き出す。
「そうだ、レイ。私この後ジョアンさんと話があるから部屋に戻ってて」
「行く」
「……どこに?」
「あんたと行く」
レイの行動が、やっぱりまったくもって読めない。
「部屋に戻っててくれるかな? その……ジョアンさんと2人で話があるから」
「ジョアンは2人でとは言ってないだろ」
「いや、まぁ、そうだけども」
人差し指で頭を数回撫で、うーん――っと悩む。レイの無表情で碧い瞳が私を見据えている。私は視線から顔を背け、どうしたものかと考えている最中。
「あきな様っ」
通路に少し響いた声、レイの体で隠れた主を確認する為にひょこっと顔を覗かせたら、ジョアンさんが小走りで駆け寄ってくる所だった。少し息を弾ませているジョアンさんに私も小走りで駆け寄る。
「はぁはぁ、お待たせしました。歳には敵いませんね……ほんの少し走っただけですのに、息があがってしまうなんて」
「大丈夫ですか!?」
「はい……すみません。はぁはぁ……ふぅ、お待たせしてしまいましたでしょうか?」
「いえ。先ほど終わったばかりでしたから」
「はぁ……それはよかったです」
胸に手を当てて息を整えているジョアンさんが、私の背後へと視線を向ける。その視線を追って振り向く。
「レイ様はお部屋にお戻りになられますよね。先にお部屋へお送りいたしましょう」
「あの……実は――」
「俺も行く。さっき、これにも言った」
私の言葉を遮って、なおかつ今度はこれ呼ばわりで。同時に、人差し指で示されてしまった。目にして、体からなぜか力が抜けてしまう。
「レイ様、人を指で指したり、これと呼ぶことにジョアンは感心致しません。あきな様に失礼です」
指摘しジョアンさんは鋭い目の表情へと変わった。