夜明け前


リビングに戻って、あの日起きたこと、そして思い悩んでいたことを話した。


ちーちゃんが大丈夫だと言ってくれたけれど、やっぱり不安で、どんな言葉が返ってくるのか怖かった。


「…珠花、気付けなくて、ごめん。側にいたのに守れなくてごめん。…俺が巻き込んだようなものなのに…。本当にごめん」


そう言って頭を下げるさく。


「…ううん、私が、もっと強くいられればよかっただけなの」


…自分のことは、自分で守らなければいけないのに。


「…珠花は強いよ。一人でぐっと我慢して、…人のせいになんかしない。…なのに、あいつらは…」


「……妬んでたんだろうな」


私とさくの会話を、黙って聞いていた奏音さんがぽつりと、そうこぼした。


「…え?」


妬む?…どういうこと?


「…ほら、朔乃も言っただろ?自分達が攻撃しても我慢して、それでいて人のせいにしない。そういう珠花の姿が、…妬ましかったんだろうな。自分達が敵わないって無意識に思ってるんだろう」


…そんなこと、ない。


私が人のせいにしないのは、自分に自信が無いから。…私に悪いところがあるから。


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