夜明け前
部屋の隅で一人、進まない時間を恨めしく思いながらさくの帰りをただひたすらに待つ。
こうして一人きりになると、この世界に一人置いていかれたような、押し潰されるような感覚に支配される。
―ずっとこんな風なんだろうか。
「―ふぅ、」
思わず深いため息をついてしまう。
―母様に、会いたいよ。
ガチャガチャ、ガチャン!
バタバタバタ、
「…珠花!」
そこには息を切らしたさくがいて。
「さく…」
「はぁ、よかった」
すごい走ったよ、と私の前まで歩いて来て座り込んださく。
「ごめん、先に帰れなんて言って」
「っ、ううん、謝らないで」
待たせるのは悪い、そう気をつかってくれたって分かってる。
「…私が弱いから、悪いの」
「…珠花、悪くなんかないよ。俺だって弱いから、…だから二人で支え合うんだ。ね?」
「…さく」
優しく微笑むさくに、安心する。
「一緒にご飯作ろ。あ、宿題出た?」
「うん。宿題いっぱい…」
「俺も。ご飯食べた後頑張ろう」
―さく、ありがとう。
だけど、あなたばかりに負担をかけてしまっていたよね。