夜明け前


―楽しい人。


そう考えていると、ちーちゃん、がこちらを向いた。


「で、こちらの可愛いお姫様、お名前は?」


「あ、えっと、本城珠花です」


大きくて、宝石のような瞳で見つめられると、吸い込まれそうだ。


「珠花、綺麗な名前だね。君にピッタリだよ、お姫様」


「お姫様…」


お姫様なんて、初めて言われた。


「はは、目がパチパチしてる、可愛いなぁ。…おいで」


そう言って、手を伸ばして私を引き寄せようとするちーちゃんに、ふらっと近寄ろうとした時。


「おいこら。なにたらしこんでんだ。んの馬鹿」


ちーちゃんが入って来たドアからまた、違う人が入って来た。


そして私は今、その人の腕の中。


ちーちゃんに引き寄せられそうになったところを、この人が逆に引き寄せたのだ。


ん?あれ?どうなってるの?


「要、助かった。さんきゅ。…けどな、珠花がパニクってる」


「おう。ん?あ、悪い。大丈夫か?びっくりしたよな?」


そう言って急に横から顔を覗き込まれて、さらに混乱する。


「あ、え、と、こんにちは」


「お、こんにちは」


「ほらー、要のせいで姫が混乱してるじゃん」


「お前は黙ってろ」


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