夜明け前


「よかったな。馬鹿でも役に立てて。…それにしてもお姫様、可愛いなぁ」


「なにそれ、人のことを馬鹿って。てか要だってたらしこんでんじゃん」


「なに言ってんだ。思ったことを言ったんだろうが。お前とは違う」


「違わないね。てか俺は健全。要が不健全ー」


「なにが不健全だこんの歩く×××××がっ!」


「っ、いってー!まじでやっただろ!今!」


×××××の部分、さくと奏音さんにダブルで耳を塞がれて聞こえなかった。


「おい。熱湯ぶっかけるぞ」


「「……」」


奏音さんの一声で、居住まいを正す大人二人。


「さすがです。奏音さん」


さくのその言葉に、


「ん。さんきゅ。いつもこれだから慣れたよ」


「いつもはないだろ」


「いや、ほぼいつもだよ」


「大抵こいつが喧嘩売ってくるんだよ」


「こいつじゃないし、千里様だし。要が突っ掛かってくるんだろ。俺は悪くない」


「なにが様だよ。突っ掛からせるように持ってくんだろ」


「はぁ?だから」


「もう言いから。いくつだよお前等」


「う、ごめん」


しょぼくれるちーちゃん、可愛いな。


「要、話してた、朔乃と珠花」


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