わたるんといっしょ


指環から刃先まで黒鉄一色の鋏は、女の身長半はある。


握るではなく、両手で持つ大きさの鋏など何かの冗談としか思えない。


作り物だと思っていいものの、研ぎ澄まされた刃と開閉時に聞こえた『ちゃきん』とした音で、『切れる』と分かってしまう。


「あ、の、私じゃなくて、友達が」


「カカカ、うん、お嬢さんじゃないのは知ってる。お嬢さん襲う男なんて、いないだろうしねー」


冗談だよ、と無意味に鋏を開閉する女の言い方にはムッとしてしまうも、今はその時じゃないかと、好美は足に力を入れた。


「友達――渉くんが、ひきこさんに連れていかれて……!た、助けてくださいっ」


立ち上がって言ってみたはいいものの、自分でも馬鹿なことを言ったと思う。


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