わたるんといっしょ
真実を話しても、信じてはもらえないジャンルだ。仮にも信じてもらえるとしたら、よほど寛大な人か、もしくは――
「『ひきこさん』カー?はいはい。河川敷にいるあれカァ」
真実を知っている者は、好美の話を嘘とは言わなかった。
「しょーじき、まいってるのよねー。アテクシの管轄に居座って、子供連れていくんだもの。ショタですカー?いえいえ、ただのウザい女カァ。
とするとー、お嬢さんのお友達がひきこさんに捕まってー、お嬢さんは助けを求めて、走り回ったと……カカカ、健気な努力してますねぇ。報われるわきゃあ、ないのにぃ」
おおよその話は読めたと、女は鋏を杖代わりに体を傾けた。
「で?お嬢さん――ってのも、飽きたな。名前なんですカー?」
「ぇ、あ、好美です……」
「好美ちゃんカァ。いいねぇ、アテクシ、そんな古風な名前好きよー。あ、因みにアテクシは、胡弓(こきゅう)。『呼吸』じゃなくて、擦弦楽器(さつげんがっき)の『胡弓』だからねぇ」