わたるんといっしょ


「いいのよー、近いのが分かったなら。気をつけて帰りなさいね」


「じゃあ、そうさせていただきます。――えっと、新しく来た方ですか?」


ますます教師らしい言い方に、この人は新しく赴任してきたのかと気になった。


「ああ、いえいえ。ちょっと、学園長からのお達しで遊びに――なんて言ったら怒られちゃうかしらねー。一時派遣扱いよ。私、違うところで生徒を受け持っているから」


とんとん、と持っていた杖を鳴らす女性。薔薇をモチーフにしたアンティークめいた杖だった。


「それにしても、こっちもこっちで、色んな人種の生徒さんがいるのねー。あっちもあっちで、人魚だったり天使だったりがいるけど、まったく別の世界だとは思えないわー」


廊下の窓からグラウンドを見る女性の言うことに、疑問符が出る。


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