わたるんといっしょ


「天神(ここ)以外にも、同じような場所が?」


あるのかとは、にわかに信じがたい。


人間、妖怪、怪異、果ては神までいるような天神こそ稀な学園かと思えば、他にも似た場所が存在していようとは。


「あるわよー。もっとも、あなたが知らない世界の話だけどね」


「異世界、とか」


異世界で、去年、ひきこさんに連れていかれたことを思い出すも、まさかあんな死地から来たわけもないだろう。


「ええ。いいところよ。見せられないのが残念なぐらいに」


誇らしげに語る女性が、その世界はこちらと変わらぬ素晴らしいところだと示唆するようだった。


最近は、ある医者の手伝いで色んな場所を回ることが多くなった渉にしてみれば、そんな素敵な世界に興味が湧いてしまう。


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