わたるんといっしょ


かん、と鉄琴でも叩いたかのような音と。


【ブリュンヒルデ】


毅然とした声。


杖の先端から、波紋のように広がる図解が渉の足元まで来たものだから、慌てて下がる。


光絵図。
凝視しても眩しいとは思わないアートが、砂塵のように消えたのと入れ違いに、夕暮れよりも赤い甲冑が姿を現した。


『呼応した、マスター』


頭から足先まで素肌を見せぬ鎧。手には剣と盾。天井に届きそうな体躯でありながらも、鎧の中から反響して漏れた声は甲高い女のそれだった。


“炎に寝た女騎士”とは、これか。


「うわ……」


その神秘性には、脱帽しそうになる。


ただ鎧があるだけでは驚きのみでも、それに至るまでの美しさに拍手でもしたい気分。


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