わたるんといっしょ


「触ってみる?」


促されたままに触れば、冷たくはない。


「水晶、ですか」


透明な天然石は見慣れている。これだけ大きく、透明度があるならばかなりの値打ちものだが、水晶の中に花があるのが解せなかった。


鉱山からそのまま採掘した凸凹の形は、まるで“最初からこうだった”と言っているような。そもそも、地中に根を持たない茎や蕾が生き生きしてるのがおかしい。


「これはね、卵なの」


「卵って……」


「こっちの世界じゃないだろうから、信じられないでしょうけど。この卵――蕾が花開けば、妖精が孵化するのよー」


親指姫の話を思い出した。促されたままに水晶を撫でていけば、ふと、蕾が膨らんだような気がして――


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