わたるんといっしょ


「まーっ、まーまー!やっぱり私の目に狂いはなかったわねっ。あなたのことを気に入ったみたいよ、この子ー」


はしゃぐように驚いてみせた女性に代わり、冷静沈着な赤い甲冑が答えた。


『妖精の類いは、人の心を栄養源とする。優しいものならばなおのこと、良し。その卵を孵化させるには、そういった者の真心が必要なのだ』


「凄いわ、あなたー。帰ったらミント君かコットン君に頼もうと思ったのだけど、善は急げに越したことはないわー」


ぐいっと、水晶を押し付けられた。


「あ、あの……」


「妖精は早く孵してあげなきゃ、花もろともに枯れちゃうのよ。私が孵化させたいところなのだけどー、四六時中相手してる時間はないのよねー」


それは渉とて同じなのだが、手にした水晶の重みで嫌ですとは言えなくなった。


< 151 / 454 >

この作品をシェア

pagetop