わたるんといっしょ
「まーっ、まーまー!やっぱり私の目に狂いはなかったわねっ。あなたのことを気に入ったみたいよ、この子ー」
はしゃぐように驚いてみせた女性に代わり、冷静沈着な赤い甲冑が答えた。
『妖精の類いは、人の心を栄養源とする。優しいものならばなおのこと、良し。その卵を孵化させるには、そういった者の真心が必要なのだ』
「凄いわ、あなたー。帰ったらミント君かコットン君に頼もうと思ったのだけど、善は急げに越したことはないわー」
ぐいっと、水晶を押し付けられた。
「あ、あの……」
「妖精は早く孵してあげなきゃ、花もろともに枯れちゃうのよ。私が孵化させたいところなのだけどー、四六時中相手してる時間はないのよねー」
それは渉とて同じなのだが、手にした水晶の重みで嫌ですとは言えなくなった。