わたるんといっしょ


命の重みというやつか。妊婦の気持ちと男たる自分が思うにはおこがましいが、産まれるべきものがこのまま枯れ落ちるだなんてとは、想像もしたくない。


「そうやって、できる限り触れてくれるだけでいいのよー。早ければ、一週間もしない内に産まれてくるから。

お礼として、その子が流す涙をプレゼントするわー」


『マスター、説明が不足しています』


「あらあら、そうねー。こほん、この『フリージングピクシー』が流す涙はね、結晶化するのよー。この手の妖精が稀にしかいないからか、物としての価値は高いし、持てば幸せになれるっていう伝承つきなのよー。ね?欲しくない?」


持たなくとも、幸せです。――とは、心で呟いておく。


幸運のアイテムと聞けば誰もが欲しがるが、今の渉には必要ない。けれども。


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