わたるんといっしょ


『ん?先日の少年ではないか』


三者に被さる影の大きさに比例した、見上げてしまう赤い甲冑によって中断した。


「ブリュンヒルデさん」


「なんや、年増の鎧か」


『その呼び方はやめてくれないか……』


誤解を招くと、ブリュンが呆れたように言う。


「今日は、お一人なんですか?」


見たところ、テレサはいない。召喚物だけに、主と一緒にいなければならないイメージがあった渉だが、ブリュンはそれに首を振る。


『マスターほどの召喚師となれば、私単体で行動してもなんら支障はない』


重そうな鎧の隙間――関節部分が、鈍い音を出すのと共に答えられた。


『これからの戦いにおいても、マスターと離れてしまう故、今はこうしてこの世界の空気に慣れるためにも、出歩いているのだ』


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