わたるんといっしょ
(三)
居間にて宿題をやっていた時だった。
「くせぇっ!」
襖が壊れるんじゃないかと言わんばかりに、憤怒露な呪法師が渉に掴みかかった。
「てめえ、なに持ち込みやがった。ああ?」
胸ぐら掴んで、渉の頭をがくがくと揺らす。苦しいだけでしかないのだが、もはや、この人とのスキンシップだと慣れてしまった渉は、まあまあと暴力的な腕に手を添えた。
添えれば離せるらしく、彼が本気で渉を傷つけようとはしていないと知る。
「藤馬さん、いきなりなんですか」
けほりと咳しつつ、相手が逆上しないように渉は言う。
「臭くてしょうがねえんだよ、この家!俺の憩い場を奪う気か。首飛ばすぞ……!」
呪法師――藤馬の鮫歯が今にも渉の首にかぶり付きそうなほどの剣幕。
短気なのは知っていたが、むやみやたらにキレることはあまりない。何を怒っているんだと思い、渉は鼻をすんと鳴らした。