わたるんといっしょ


――いや、歩くとは語弊か。


「人、ではないよな……」


四つん這いになり、膝を地につけ、手のはらをぺたぺたと音立て進む肌色の物体。


雨に打たれたせいか、決して健康的とは言えない肌色は、濁った池にいる魚を彷彿させる。


ぺたぺた、ぺた、ぺた。


体型からして、成人男性ほど。一糸まとわぬ姿となれば変質者の類いであろうが、その者には毛がなかった。


毛根すらもないような胎児みたいなつるつるの頭から、脛毛の一本もない。


遠目から見る分には、とつくが、その者から漂う気配は鳥肌を立たせて、直感が警笛を鳴らす。


――化け物だ。


「まいった……」


前までならば、どんな化け物怪異と遭遇しても、『大丈夫』と言えたが、今の渉は“無防備”だ。何とも分からぬ怪異に出会って、無事な保証がない。


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