わたるんといっしょ
都市伝説探求者の知識を集め、ああいった怪異を検索してみたが、思い当たる節はない。
対処法がない以上、逃げるしか他ないのだが、口裂け女のように100mを3秒で走られては追い付かれる。
命に関わる危機。のはずだが、先刻の『まいった』が物語るように、渉は麓の化け物を重要視していなかった。
「……」
ぱたぱたと水を弾く傘を持ったまま、様子を見る。
ハイハイで移動するそいつは、極端にのろかった。だからといって、追いかけるさいにも同じスピードだとは言えないが――そいつは、“こちらを見ずに進んでいる”。
渉のいる階段を横切っているだけだった。自動車と同じように、単なる行きずりの化け物と渉は判断する。