わたるんといっしょ
目が合えば一大事なんだろうが、怪異がこちらを意識していない以上、この土地に助けられたことに他ならない。
渉は、アレを招いていない。
招かれなければたどり着けない土地は、何も人間のみに限定されることはない。
怪異や化け物もまた然り。
そういった負を集めることが得意な――類友だった自分だからこそ、この土地の効力はよく知っている。
藤馬という反則は例外にせよ、その反則のおかげで、更に真価を発揮した土地が、そんじょそこらの化け物に看破されるわけもなかった。
危機を重要視していなかったのはこのため。登校中に、繋がれた獰猛犬を見た程度の気持ちしかない。
「……はあ」
仕方がないか、と渉は方向転換した。
これからスーパーに買い物に行く次第でもあったが、アレがいる限り、麓に下りるのは危険。故に待つ他ないが、ご覧の通りのありさま。あのハイハイが、この一画から消え去るには数時間はかかろう。