わたるんといっしょ


言った瞬間、先方から『がしゃん、どしゃん』と重低音が響いた。


『ちょっと、ブリュンーっ!滝に打たれてくるって、錆びちゃうからやめなさ――ああ、もーっ、その図体で全力疾走は駄目よー!

わたるんくん、ごめんねっ。じゃあ、今晩そちらに伺うからー』


慌ただしく通話終了。


携帯電話をしまうさいに、『そういえば僕の住所』と思ったが、名簿見れば分かるかと自答する。


テレサの伺うに了承を出したし、これで彼女が春夏秋冬家の石階段を素通りすることもないだろう。


立ち止まった足を進める。アスファルトの深い水溜まりを踏みしめないように避けつつ、前に進めば。


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