わたるんといっしょ


『曲がり角を曲がる』。


テケテケはあの体からして、極端な方向転換が出来ないのだ。


蟹が横歩きしかできないよう、あれもまた真っ直ぐにしか進めない。


曲がり角と見立てた杉の木は、さぞや“邪魔”であろう。


小回りが利く足を持つものならまだしも、手で上半身を支えるというバランスが悪いアレでは杉の木に何度ぶつかることか。


それほどかからなかった。


「っ、はあ……」


追ってくる気配がなくなったのを見計らい後ろを向けば、あの異形はいない。


諦めたのならこれ幸いだが、まだ緊張の糸を切ってはいけない。


「げほっ、つぅ……」


逃げたいが、体力が限界だった。


手頃な杉の木に背を預けて、濡れることお構いなしでその場に座る。


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