わたるんといっしょ


ならば、アレはなんだ?


都市伝説だけでなく、民俗学、妖怪の類いも調べた頭が該当なしと言ってくる。


即ち、助かる術なし。


「……」


残す希望は、あの異形がこのまま、渉を見つけずに行ってしまうことになった。


にちゃにちゃと、泥土を右往左往する音は、“探しているんだ”と思わせる。


背を預けた太い杉の木が隠れ蓑にでもなったか、渉は息を止めて、じっと耐えた。


鼓動がうるさく思える静寂。異形がさ迷う音が、死へのカウントダウンとも思えてきた。


目は瞑ったまま、祈るように、助かることだけを願い――ふと、自身の家族の顔を思い出す。


助けてくれる人々。
助けてと言えば、すぐにでも駆けつけてくれる優しい人。


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