わたるんといっしょ
懐にしまった携帯電話を意識した。
携帯電話を持っていない藤馬はともかくとして、他の家族たる、五十鈴とさざめきの番号は入っている。
どちらも渉の危機を無視などしない。ただ五十鈴となれば、ここまで駆け付けるのに時間を要するだろう。
県外にも行くような梟の羽だが、どんなに急かそうともマッハで飛ぶわけはない。
だとすれば、さざめき側はどうかと考えれば、彼特有の“移動手段”があれば可能だと断定できる。
藤馬も使える移動手段は、好きな場所に瞬時に移動できるというもの。己を無力だと言うさざめきが、あの怪異を打ち負かすことは出来ずとも、『逃げる』となれば怪異は追い付けない。