わたるんといっしょ
「……」
さざめきに助けを求めるか。
携帯電話に触れて。
「……」
躊躇ったのは、悪い癖が出てしまったから。
『僕のせいで』
誰かの迷惑になるのは嫌だった。
『僕なんかのために』
何かしてくれることは苦痛だった。
「……」
分かっている、“悪い癖”だと。
自分をないがしろにして、周りに気を使う――家族にまで遠慮がちになる性格とはおさらばしたはずなのに。
「……っ」
長年染み付いたものは、“躊躇い”として残る。
頼ると決めた。
『助けて』と言える性格になった。
――僕には、頼れる家族がいるんだから。
意を決すように、携帯電話を取り出した矢先――その躊躇いが、不幸を招く。