わたるんといっしょ


躊躇をした“間”。


「ほしいぃ!」


足を、掴まれた――


「ひっ」


見つかった獲物に嬉々する異形と、逃がさないと力強い指先。


立とうにも立てず、無我夢中で足を動かすが――拘束は解けない。


「っ、いや、だ……!」


こんなところで。
あんなことを経験した後で。


「僕は、死にたくなんかない……!」


幸せの輪から抜けたくないんだ。


叫びと同時に、足にかかる負荷が消えた。


火事場の馬鹿力でも発揮したか、抜け出せたと、渉はそのまま山を下る。


転がるように落ちて、手にある水晶を落とさないように抱えて。


「ああああ゛、ほしいいぃ!」


遠方から木霊す叫びから、逃げきった。


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