わたるんといっしょ


(五)


傘の柄が折れそうなほどの豪雨。


風がないからこそ、真下に落ちる束なった液体はより傘を圧する。


ひどい雨足のせいで視界不鮮明な上、夜ともあっては視界不明瞭。懐中電灯がなければ、歩くこともままならない。


「……」


歩いていた。


「っ……」


緊迫感をまといながら、渉は石階段を下っていた。


昼間の一件から、何とか家に逃げ込み、今日一日は外出しないと決めた矢先に、心配事が出た。


――僕以外の誰かが襲われたら、どうしよう。


春夏秋冬家がある山間の道路は、人はおろか自動車さえも滅多に通らないのだから、その考えはしばし『考えすぎ』とも言えようが、誰かが来る予定があれば、話は別。


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