わたるんといっしょ


妖怪で言えば、からかさ、一本だたらの類い。


片足で跳ぶ異形は渉との距離を詰め、停止。一つ足では体を支えられないのか、長い両の手を地につけていた。


「何が、欲しいんですか」


「ほしい、ほしい」


「あげられるものならば、あげますよ」


「あ゛ぁ、ほしい゛ぃ」


吐瀉物を撒き散らす異形は、聞く耳を持たない。


意志疎通を計ったのが間違いだったか、ならば逃げるしかないと渉は石段を踏みしめた。


招かれなければ入ることが出来ない土地。こうして、見つかってしまった以上――渉が家へと向かうのならば、“追ってくる”という形で異形とてたどり着いてしまうが、少なくとも家に入ればこちらのものだと思った。


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