わたるんといっしょ
あの家は、藤馬のお墨付き。自身の縄張りに他者が入ることを許さぬ男が、憩い場と称した家に化け物をいれるようなちんけな守りを設けるわけもなかった。
類友であった渉。
化け物を引き寄せてしまう身が、あの家でぐっすりと眠られたのは、藤馬のおかげだとも思っているから――
「……!」
だからこそ、詰めを誤った。
「ほしいい゛ぃぃ!」
“渉の前に立つ異形”。逃走経路を絶つそいつは、渉の足を止めた。
「くっ……」
上へは進めない。
そうして異形は、下りてくる。
異形の脇を通り抜けるだなんて悠長なことは思えない速度が、一気に渉との距離を詰めた。
イメージは手まり。
たーん、と一足飛びで弧を描いて着地したそいつは、渉の首を掴んだ。