わたるんといっしょ


「このっ」


それを無理矢理取り払ったものだから、石段から足を踏み外す。


幸いにも二段三段目のことであるからして、大事には至らないが、アスファルトに背中を打ち付けた。


苦悶する己の声を聞きながら、ざざっと懐中電灯が手から離れていく音を聞く。


壊れてはいないらしく明かりは灯るが、それは異形の足元しか照らさない。


たん、たん。
弾む鞠のような音。豪雨が酷いくせに、そんなか細い音がより目立つのは何故だったか。


「つぅ……!」


逃げ切らなければと肘に力を入れて、上体を起こす。


後は立ち上がるだけというところで――予期せぬ事態が起こった。


闇夜をかっ切るかのような、赤い迅速。

降り注ぐ雨と共に宙から舞い降りたそれは異形を両断した。



見覚えある赤い姿。かちゃりと鳴る金属音に。


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