わたるんといっしょ


最初から傷つけるつもりはなかった。どんなに憤りを感じようとも、そんな感情で人を殺傷するほどブリュンは矮小ではない。


単なる脅しだった。

強いんだと矜持を振るうだけのつもりで、実際には冬月に当たらぬ箇所――真横に振り下ろしたつもりなのに。


『刀風情に……っ』


細長い鉄が、ブリュンヒルデの剣を受け止める。


それを言えば、冬月の細腕が折れずしているのもおかしく思えた。


当たらぬからと力いっぱいに振り下げ――今だって、なお。


『な、なぜ……!』


拮抗するのだ――

体格差、得物の差異。どれをとってもこちらが上であるはずなのに。


「初戦敗退も、これなら頷けるわぁ。僕が出た方が、いい戦績あげられたんと違う?」


拮抗が傾く。


『っ……!』


押されている――

片手剣の刃から伝わる力が、真鍮の腕を軋ませるようだった。


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