わたるんといっしょ
「ま、待ってください、何かおかしいですっ」
冬月ではない。
もしもアレが冬月ならば、まず渉の傍に来るはずなのだ。
いつものように体を寄せて、その愛情を惜しみなく出すというのに。
「何なのかしらね、いったい」
そんな冬月を知らぬテレサでも、おかしいことは端から承知。
いくら冬月が剣豪と言えども、ブリュンヒルデの片手剣を砕いたのが解せない。
前に一度、他の召喚物に切られたことはあるものの、何の神秘術も兼ね備えていない、いわば“切れるだけの刃”に、あの剛剣が単純な力比べで負けるなどとは、天地がひっくり返ってもあり得ない。
あり得ない、はずなんだ。
「あなた、何?」
臨戦の構えながらも、鬼気迫るような空気がテレサの鼓動を早める。