わたるんといっしょ
「ほしい、ほしいぃ」
一本足の怪異が、ヤジロベエのようにユラユラ揺れていた。
個々によって――誰を標的にするかにより、形態を変化させるタイプなのかと推測するも、これは渉だけ(一人)に対しても形を変えている。
朝はハイハイ、昼間はテケテケ、夜はヤジロベエ。
「……?」
そう思い返したことに何かが引っ掛かりそうになった。
“覚えがある”。
いや、何かに似ていると思い、答えを見つけようにも。
「ほしい゛ぃ!」
飛びかかってきた怪異が、渉に猶予を与えない。
反射のごとくに折り畳んだ傘を振るえば、鈍い感触。
正当防衛にせよ、殴ったというこの感触によって、気がふれそうになった。
「っ……」
逃げ出したい。
けど、テレサがまだこの場にいるなら、何としてでも今ここで化け物を追い返すしかなかった。